ヨイ豊
講談社文庫・約 440 ページ
師匠の三代豊国を亡くした絵師が、歌川を誰が継ぐのかに揺れる幕末の話。
才に恵まれた弟弟子と比べてしまう生真面目な男の苦さが、静かに沁みる。
誰かと自分を比べてしまった夜に。
この本について
元治 2 年、絵師の清太郎は師であり義父でもある三代豊国の法要の席にいる。広重も国芳もすでに亡く、誰が歌川を率いるのかに皆の目が集まる。才気あふれる年下の弟弟子・八十八に比べ、自分が褒められたのは生真面目さだけ。徳川の世が翳る中、絵師たちが何を描こうとしたのかが胸に残る。