高瀬庄左衛門御留書
講談社文庫・約 400 ページ
妻と息子を亡くした郡方の武士が、嫁と静かに暮らすなか藩の政争に巻き込まれていく話。
悔いを抱えて老いていく男の日々が、穏やかで強い物語として沁みてくる。
来た道を静かに振り返る夜に。
この本について
神山藩の郡方・高瀬庄左衛門は、50 歳を前に妻を、さらに事故で息子を失った。残された嫁の志穂と暮らし、絵を描いて慰めながら、寂しさと悔いの中を倹しく生きている。そこへ藩の政争が、ゆっくりと確実に迫ってくる。誇りを持って生きるとは何か、違う生き方もあったかという迷いとどう向き合うかが、静かに残る。